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小児カイロプラクティック・変形性斜頭症

一昨日の日曜日に「小児カイロプラクティック」のセミナーを受講してきました。このセミナーは4月から始まり、今回で3回目の受講になります。毎回、妊婦や小児に特化した座学と技術習得が行われとても勉強になります。
今回、小児によく見られる疾患とアプローチ法について講義して頂いたのですが、その中にあった幼児の多くに見られる斜頭症(変形性斜頭症)についてお伝えしたいと思います。斜頭症を簡単に説明すると2種類に分類されます。

①ラムダ縫合の早期癒合に起因する斜頭症(頭蓋骨早期癒合症)
②頭蓋骨縫合部の早期癒合を伴わない、変形性斜頭症


ここで①については、アメリカ国内の報告で発生頻度は1万人に3人から5人と言われ、それほど多い障害ではありません。②については2003年時点では60人に1人と言われている程多発しています。そこでこの②の斜頭症についての原因とマネジメントについて少しまとめてみました。
出生時に変形が見られる場合は、胎児の位置や大きさなど子宮内での問題や吸引装置使用などの分娩時の外傷などによるものが考えられますが、特にここで取り上げたいのは出生後に変形が生じた場合です。

■出生後に変形が生じた場合の原因
1.筋性斜頚
2.筋低緊張障害(自発的に頭の向きを変えにくい)
3.寝かせ方など、頭を同じ向きに固定する仰向け姿勢
4.向き癖
5.サブラクセーション(カイロプラクティックで言われている歪み)

■予防法
1.両親や赤ちゃんの世話をする方々に赤ちゃんの寝る姿勢と頭の形の関連についての認識と首が座るまでの数ヶ月間の予防の大切さを理解して頂くこと。
2.赤ちゃんが仰向けに寝ている時、頭の向きをこまめに変える。
3.赤ちゃんが目覚めている間に、腹ばいで過ごす時間をできるだけ確保する。
4.ベビーカーやベビーチェアで過ごす時間をできるだけ減らす。また時々縦抱きにして頭部と頚部の運動性を促す。

■変形性斜頭症の長期的な影響
1.頭部の変形とそれに伴う顔面の変形
2.変形による美容上の問題を訴える
3.子供の姿勢形成過程に及ぼす影響
4.脳や神経の発達が影響を受けた場合の学童期での軽度発達障害の危険性

■変形性斜頭症に対するカイロプラクティック・マネジメントの調査
オーストラリアでの調査結果:脊椎及び四肢へのアジャストメント(矯正)行った平均年齢3.74ヶ月の乳児25人を対象としたレトロスペクティブ研究によると平均3.64ヶ月の間に25人すべての乳児において斜頭症の診断につながる所見が見られなくなった。
(Davies NJ.Chiropractic management of deformational plagiocephaly in infants :An alternative to device-dependent therapy. chiropr J Aust 2002)

 上記の調査結果以外でも有効性を示すレポートが見られました。カイロプラクティック治療が「変形性斜頭症」に対して有効であることは確かなようです。
 原因の中にあった「向き癖」一つとってみても、身体の中に捻れや歪みが存在する為に自然にどちらかばかりを向いてしまう癖が身についてしまうことが考えられます。子供は身体を捻らせてこの世に誕生します。その後同じような体勢を繰り返したりしていれば、大人と同じように身体全体に捻れや歪みが生じてもなんら不思議ではありません。言い換えればこの乳児の捻れや歪みが大人になるまで放置されていることも少なくないのでしょう?
 以前、乳児を治療していて身体の捻れを取り除くと便通が改善されたことが何度かありますが、乳幼児に対して我々が貢献できることは自分が考えていた以上に広範囲であることを再確認いたしました。また、今回のセミナーを開催して頂いた、小畑良明先生にこの場をかりてお礼申し上げます。感謝!